宿泊施設の接客英語 チェックイン編

目からウロコの宿泊施設接客英会話 チェックイン編3 お客様の名前のスペル綴りを口頭で英語で聞くには

名前の綴りを伺う場合

外国のお客様がチェックインされる際、名前で予約を確認する場合、何度名前を伺っても聞き取れなかったり、スペルがわからないこともありますよね。どういうスペルですかと聞く場合は、

Can you spell that, please?「その綴りを教えていただけますでしょうか?」

Could you please spell that for me, sir?「その綴りを教えていただけますでしょうか?」

How do you spell your last name, please?「苗字はどういう綴りでしょうか?」

などと伺いましょう。直訳すると「苗字を綴っていただけますか?」という表現です。日本語では「スペル」という単語は名詞ですが、英語で「spell」という単語は「綴る」という動詞ですので、名詞より動詞で使う方が自然な英語表現です。また、綴りという日本語訳から、書くという動作を連想しがちですが、spellという動詞は「~と読む」という読む動作ですので、「スペルを書いてください」という意味にはならず、「綴りを読んでください」という意味です。

また、スペルは何ですかというつもりでWhat is the spell?というのは間違いなので注意しましょう。名詞としてspellを使ってしまうと、What is the spell used to open a locked door in Harry Potter?(ハリーポッターで鍵のかかったドアを開けるために使われた呪文は何でしょうか)というように「呪文」という意味になります。

綴りという意味の名詞はspellingですので、What is the spelling?とは言えますが、接客英語ではwhatから始まる疑問文でお客様のこと伺うのは少々ぶしつけで聞こえが悪いです。
名詞の形で使いたい場合、

May I have the spelling of your first name, please?「下のお名前の綴りを頂戴できますか?」

と言いましょう。

姓名の言い方と書き方

姓つまり苗字は英語でLast name, Family name, Surnameです。
下の名前は、英語でFirst name, Given name, Forenameです。

日本語で口頭では貴方の「姓」は何ですかとは言わず、「苗字」は何ですかと聞きますね。同様に、英語圏ではSurnameは書面で使われる硬い言葉で、口語ではほとんどはLast nameと言います。敢えて使います。名前の場合First nameもGiven nameも口頭でも書面でも使われますが、First nameの方が一般的です。Forenameは書き言葉です。

全世界からのお客様に対して接客で使う場合は、口頭ではLast nameFirst nameという言い方を使ってもいいと思いますが、宿帳など書面で使う場合は、氏はFamily name、名はGiven Nameと書くといいでしょう。日本のように姓+名の順番で使う国は、中国、台湾、韓国、ベトナムなどアジア圏だけでなく、ハンガリーやルーマニアなど他にもあり、LastとFirstの意味を取り違える可能性があるからです。また、スペインでは父方母方両方からもらう2つの姓を持っていたり、イスラム教アラブ諸国などでは姓Surnameがなく、父親・祖父の名前を自分の名前の後に付けていくなど、命名法も国によって違うため、Family nameという言葉が一番公正中立な表現になります。

夫婦が同じ苗字とは限らない

中国、台湾や韓国、ベトナムなど中華文化の影響がある国では、婚姻により名前が変わることはなく、完全に夫婦別姓です。同じ姓同士の結婚も避ける習慣があるため、旦那様がMr. Liですと、奥様の姓は必ずLiではありませんので、Mrs. Liとは呼べません。欧米でも今では夫婦別姓が認められている国が多数あります。夫婦別姓を選択しているご夫婦の場合、Mrs.ミセスという敬称そのものも嫌う傾向があるため、必ずそれぞれの名前を確認し、男性側には「Mr.+男性の姓」、女性側にはMrs.ではなく「Ms.+女性の姓」でお呼びするといいでしょう。

名前などの綴りを口頭で答える場合

日本語でも、漢字の名前を見ても読み方がわからなかったり、名前を聞いてもその漢字が想像つかないことがあるのと同じように、様々な背景と祖先を持つ英語圏でも名前の読み方やつづりがわからないことはよくあります。日本語では「野山の山に、田んぼの田で、山田です」など漢字を説明しますよね。英語でも同じように、口頭や電話でスペルを説明することがあります。先程の日本語に絡めていうと「山 as in 野山、田 as in 田んぼ」というように、伝えたいアルファベットと同じ頭文字から始まる単語を挙げていきます。

It’s ABC, A as in America, B as in Brazil, C as in China「ABCというスペルです、つまりアメリカの綴りのA、ブラジルのB、チャイナのCです」

というようにアルファベットを読み上げていきます。

A as in America

A like America

A for America

という言い方でもいいです。

一応欧米では、NATOコードと呼ばれる国際的に決められた各国共通のアルファベットの代表例があり、以下のようになっています。

Alpha Bravo Charlie Delta Echo Foxtrot Golf Hotel India Juliet Kilo Lima Mike November Oscar Papa Quebec Romeo Sierra Tango Uniform Victor Whiskey Xray Yankee Zulu

ネイティブスピーカーならどこかしらで聞いたことがるはずのコードです。警察無線などでも使われるので、テレビなどから自然に覚えるようです。しかし日本人にとっては分かりにくいですよね。FoxtrotのFですよ、なんて言われてもサッパリわかりません。

私の旅先での経験上では、航空会社やホテルなどでは、ノンネイティブスピーカーも多い旅行者向けには、常に国名や都市名などを例えにすることの方が多い気がします。代表例を挙げてみます。

A America, Amsterdam
B Brazil, Boston, Bombay
C China, Chicago
D Denmark
E England
F France, Florida
G Germany
H Hong Kong
I India, Italy
J Japan
K Kenya (KoreaはCoreaと書く国がある為使わない)
L London
M Mexico, Malaysia
N Norway, New York
O Oslo, Osaka
P Paris
Q Quebec
R Russia, Roma
S Spain, Singapore
T Thailand, Tokyo
U United Kingdom(英国), United States(米国)
V Vietnam, Valencia
W Washington
X X-ray(Xは大抵X-ray放射線エックスレイを使う)
Y Yokohama
Z Zebra(シマウマのジブラ)

 

この記事が役に立つと思ったらぜひシェアして下さい。

コメントを残す