目からウロコの接客英語 基礎2 外国のお客様を接客する際の注意点:欧米人の笑顔と日本人の愛想笑い
目からウロコの接客英語 基礎2
欧米人の笑顔と日本人の愛想笑い
海外でも人気の旅行情報口コミサイトであるトリップアドバイザーで、日本の宿泊施設に対しての英語のコメントを読んでいると、日本の一流大手ホテルでも日本のホテル従業員に対して恐ろしく手厳しいコメントがついていることがよくあります。特に日本の男性ホテルマンに関して、笑顔がなく難しい顔をした印象があるようです。日本のプロフェッショナリズムに徹した生真面目な表情がひどく誤解を与えているのかなと思います。営業向きの笑顔のステキな日本人男性ホテルマンも沢山いますが、全員がそうではないですよね。日本人からすれば、慣れていない年配男性が無理して愛想笑いを作るよりは、素のままで仕事してくれればそれでいいと思うのですが、西洋人の目には非常に冷たい不快な表情にうつるようです。前章で述べたように、挨拶がきちんと交わされていない状態で、欧米人が期待する笑顔がない場合、自分の存在を軽視されたと誤解するかもしれません。
Straight faceという言葉があるのですが、日本語に訳すると「真顔」とか「真面目くさった顔」です。笑いを抑えた、感情を隠した、という意味で、「得体のしれない」というネガティブなニュアンスがある言葉です。「彼はいつでもstraight faceだ」と言ったら、悪い意味で使います。
STRAIGHT FACE
SMILE FACE
挨拶の章で説明しましたが、欧米のお客様を接客する際は、目を見てアイコンタクトを取り、まず挨拶の言葉を交わすことが一番重要です。その際は必ず笑顔で応対すること。挨拶と笑顔がワンセットです。
日本人の表情で誤解を与えやすいとよく言われる代表格が日本人の愛想笑いです。欧米でも愛想を振りまく営業スマイルはもちろん存在しますが、日本人の都合の悪い時つい愛想笑いしてしまうくせ、これは大きな誤解を与えます。感情をストレートに表現する欧米人にとって笑いとは「笑う」ことでしかなく、失敗を誤魔化したり当惑をを表す「笑い」というものが存在しないからです。チェックインの際、お客様に対し挨拶も笑顔もなく手続きに入ったのに、部屋の準備ができていないとか、荷物運びのベルボーイはいないなどとお客様へ不利なことを説明する段階になると、愛想笑いをしながらすみませんと言う。これでは、最初は上から目線、その後はお客様に不都合が生じたのをあざ笑っているかのような印象を与えてしまいます。
欧米人にとって、ビジネスや接客では、スマイルフェイスが基本の表情です。何かお客様へ不都合が生じた際に初めてストレートフェイスに戻ること。何か謝るとき、相手にとって不利な情報を伝えるときは悲しそうな困った表情をすることを意識しましょう。
最近もこんなことがありました。成田空港からの早朝便に搭乗するため空港近くの日系大手ホテルチェーンに前泊することになり、トリップアドバイザーでそのホテルについて調べてみたのですが、思いのほか評価が悪い。トリップアドバイザーの施設に対する評価は言語ごとに変わるからです。口コミの詳細を読んでみると、複数の人が同じことを指摘していて、どうも男性従業員にも問題があると感じているようでした。ホテルに到着してフロントでチェックインの列に並んだところ、案の定というべきか、西洋人カップルがフロントで日本人男性従業員と何やら揉めています。カップルはかなりご立腹の様子でしたが、ホテル従業員にはそのニュアンスが伝わらないのか意に介さず、むしろ愛想笑いをしながら何やら説明しており、それにより嘲笑されたと感じるカップルの怒りに更に火を注ぐといった様子でした。空港のお膝元、大手チェーンで完璧な英語表記もあり、ハード面での受け入れ態勢は万全のはずなのに、ソフト面ではまだ難しいのかと実感させられた一幕でした。
逆に言えば、大手でも未だこのようなことがあり得るのですから、個人商店でも努力次第で外国人客から高評価を得るチャンスがまだまだあるということかと思います。