接客英語 1 基礎編

目からウロコの接客英語 基礎4 外国のお客様を接客する際の注意点:欧米で相槌は失礼にあたる?

日本語の「はい」を英語で何というか

前章では日本語の「はい」の10個の意味をあげ、そのうち1と2、肯定と受入同意に関しての説明をしました。

この章では、3と4の相槌を打つ際に使う「はい」は英語でどう言えばいいのか説明します。

 

1.〇 その通り正しいです、という肯定の「はい」correct

2.△ わかりました、という受け入れ同意の「はい」 accept

3.× 貴方に同意します、という相槌の「はい」 agree

4.× 同意するかはともかく貴方の話を聞いていますよ、という相槌の「はい」just listening

5.〇 声を掛けられてたことに気が付いて返答するときの「はい」yes?

6.× 相手の話がよくわからないとき聞き取れないのときの「はい?」 pardon, sorry

7.× はい、これどうぞ、と物を渡すとき、物を与えるときの掛け声の「はい」here

8.× はいでは次、はい注目など、注意を促すときの「はい」attention, okay, all right

9.〇 学校の教室で点呼の際、名前を呼ばれて答える「はい」 here, present

10.〇 相手の話を切り上げたい、どうでもいい話だと切りたいときの「はい、はい」 yeah whatever

(この10個の中で、Yesと訳せるのは〇を、訳せないものはを、Yesだけでは足りないものは△をつけています)

 

3.相槌の「はい」はYes?

日本語で使う相槌の「はい」は、必ずしもyesにはなりません。どうしてなのか不思議に思うかもしれませんね。内容的にはyesとは訳せるのですが、そもそも英語圏で日本人がするような相槌の習慣はありません。頻繁な相槌はむしろ失礼に当たりますので注意してください。映画のシーンなどでアメリカ人が「アハーアーハー」「オー、イヤー、イェアー」なんて、オーバーリアクションで何でも相槌打っている印象を持っているかもしれませんが、間違ってはいけません。友達で話が盛り上がったりする無礼講のなかではありますが、アメリカ人でも幼いころから、誰かが話している時は必ず黙ってその話が終わるのを待つこと、人の話を遮るなと厳しく躾けられます。それは相槌を含め、一切話を遮らないように、という意味でです。またyeahはyesよりカジュアルで、目上の人や年配の方の前で使うと失礼な言葉です。

例えばアメリカの幼稚園や学校などでは、Talking stickと呼ばれるトーテムポールの彫刻が施された棒を使って、棒を持っている子だけが発言権を持ち、その子が話し終えるまでクラスの誰も発声してはいけないというゲームがあります。守れない子供は先生にひどく叱られ、誰かが話している時はその他の子供は完全に沈黙する習慣を得ていくのです。礼儀を重んじるイギリスではなおさら厳しく躾けられます。

日本人は、話の流れをスムーズにするために、相手のセンテンス毎にでも「はい、ええ、うん」と相槌をうつことは珍しくありません。しかしながらそのペースで「yes, yes, yes」と欧米人に相槌を打ってしまうと、欧米人は非常に驚くでしょう。英語圏で、貴方の話を聞いていますよと伝えるのは、話の合間合間に相槌を打つことではありません。話している相手の目をまっすぐ見つめて、相手の口が閉じるまで、ただひたすら黙って待つことです。相手の目を見ていないと、話を聞いていない、聞きたくない、という意味に取られてしまいます。相槌を何度も打つと、「はい、はい、それで?」と、もう話は終わりなのかと話を急かしている意味になります。相槌を打つ回数は、日本語で会話している時の五分の一から十分の一以下に減らすか、全くしないくらいで丁度いいと思います。日本とは真逆ですよね。私も相手が黙っているとつい「ちゃんと聞いてる?」と聞きたくなってしまうのですが。

このニュアンスは日本人は中々気が付かないので、うまくニュアンスが伝えられなかったのですが、youtubeでいいビデオがありましたのでご紹介します。日本の相槌文化との対比を映像で非常にわかりやすく面白く説明していると思います。

 

4.貴方の話を聞いていますよ、という相槌の「はい」

この上記ビデオの中でも出てきましたが、外国人を一番困惑させるのが
4番目の、同意するかはともかく貴方の話を聞いていますよ、という相槌の「はい」です。

Yesという英語には、完全なる肯定と同意の意味しかありません。日本語の「聞いてますよ」という使い方は全くありません。Yes?イェース?と語尾上がりの疑問形で発音するならば、それは本当ですかという確認にはなりますが、これも相槌の感覚ではなく、疑っている時に使われます。日本語で目上の方に「はい。はい。」という時の語尾下がりの発音でYes. Yes.と発音してしまうと、完全に相手の話を肯定、同意することになり、会話がこのように誤解される可能性があります。

お客様: Well, I had a dinner at the restaurant over there yesterday,
「昨日そこのレストランで夕飯を食べたのですが、」

ホテル:Yes (, you did.)
「そうですね」(ええ、貴方はそこで確かに夕飯を食べましたね、知っていますよ。)

お客様:The meal was amazingly good,
「そこの食事はとても美味しかったんです。」

ホテル:Oh yes (, it is.)
「そうですね」(ええ、とても美味しいですね、知っていますよ、いつも食べてますから)

お客様:But I have to say the restaurant is short-staffed.

「しかし残念ながらあのレストランは人員不足だと言わざるを得ません。」

ホテル:Yes (, you do.) I see.

「そうですね」(ええ、確かにそのレストランは完全に人員不足ですから。)

お客様:The service was very disappointing.

「サービスにはがっかりさせられましたよ」

ホテル:Oh, I’m sorry.

「それは御可哀想に」(そりゃそうでしょうね。)

日本人ホテルマンは、真面目に「はい。はい。」と話を聞いて、「申し訳ありません」と謝ったつもりです。しかしお客様からすると、態度は恐縮しているのに木で鼻を繰るような言葉だけしか出てこず、なんとも後味悪い会話になってしまいました。

Yesという単語は、上記会話の(括弧)のように後ろに主語と動詞をつけてみて、内容がおかしくない時だけ使いましょう。

上記の会話でしたら、最後の要点まで黙って聞いて相槌は一切打たないのが理想的です。日本人として口を閉じていることが不安だ、どうしても何か言いたい、というのであれば、以下のように会話をつなげます。

お客様:Well, I had a dinner at the restaurant over there yesterday,

ホテル:All right?

お客様:The meal was amazingly good,

ホテル:That’s good to hear.

直訳だと「それはよかったですね」ですが上から物を言っているニュアンスはありません。

お客様:But I have to say the restaurant is short-staffed.

ホテル:Oh, I’m so sorry to hear that. 何か悪い情報を聞いた時に返す定番フレーズです。

お客様:The service was very disappointing.

ホテル:I apologize, sir. I will pass your feedback to the management.

「申し訳ございません。ご意見は私が上の者に申し伝えておきます。」

 

日本人の頻繁な相槌に違和感を覚えるのは、英語圏だけはありません。

日本人の頻繁な相槌は、英語圏だけでなく、中国語圏の方にも、非常に不思議な習慣です。

同じようにyoutubeで上がっているビデオがあるのでご紹介します。

 

 

このビデオではサラッと広東語で「はい」がどういう風に聞こえるか解説していますね (>_<)

韓国の場合、欧米や中華圏の人々よりは頻繁に相槌をうつ気がしますが、それでも日本人ほど頻繁ではありませんし、

やはり目上の人が話している間は相槌は打たず黙って聞くことが礼儀です。

世界中からのお客様を相手にする接客英語では、相槌はあまり使わないほうがいいと覚えておきましょう。

 

5~7までの「はい」についての説明はこちら

I beg your pardon?は使い方に注意

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